| ●ナイトカストーディアルこそ本当の掃除のプロさ（２００４．２．２４） |
今回は、ある意味有名で、それでいて、その実態があまり知られていない「ナイト・カストーディアル」を紹介したい。
といっても、私もナイトカストーディアルをやったことはないので、それほど詳しく書けるものでもない。
ナイトカストーディアルキャスト（以下、ナイトと略）は、他のキャストと違ってオリエンタルランド所属ではない。今はオリエンタルランドの子会社に所属しているのかな？以前は「市○○○○○○○○○○」というオリエンタルランドとは何の関係もない会社の人達だったけど（この会社は今もＴＤＲ内の産業廃棄物処理関係などで取引はあるみたいですが。清掃関係も今もやっているのかも）紺の上下のコスチュームで、深夜労働のため男性ばかり（今は法律が変わったから女性もいるようです）
ナイトを指揮するのは、もちろんオリエンタルランドのカストーディアル部社員。
ナイトはパーク閉園後、毎日夜１２時くらいから朝７時くらいまで、音楽も途絶え灯りもない中で外部作業用のライトを点灯して仕事を行なう。
どんな仕事かというと、まずは地面に水をまいて洗い流す（雨の日もやります）。それから建物の外壁なども水を吹きかけたりしながら、ブラシ（とはいわないが）などを使って清掃。あとは建物内……お店やアトラクションなどの内部の細かいところを丁寧に掃除していく。
地面の掃除は「赤ちゃんがハイハイできる」ほど綺麗にしなければならない。ただ水をまくだけではなく、それで落ちない部分は洗剤を使ってブラシでこする。ガムなどの痕は特殊な洗剤で溶かす。それが済んでから地面の水をスクイジーで流し取る。それからもう一度チェックして汚れがあったら、その部分をまた洗剤をつけて擦り、モップで拭き取る。
開園までに水が乾かなければ、モップなどで拭き取る……どんな天候でもを毎日繰り返すのだ。
建物の外壁は毎日というわけではないが、ゲストから見えない部分も含めて、清掃する。外灯や縁石などもきれいに拭き上げる。
アトラクションの中でも人形などを一つ一つ丁寧に拭いていく。
トイレも便器一つ一つを磨き上げる。
雪が降ったときは雪かきもする。
デイ・カストーディアル（開園中清掃しているキャスト）も大変な仕事だが、ナイトの作業はそれの比ではない。汚れているところが残っていることは許されない、それこそ一切妥協のない仕事であり、間に合わなければ開園時間を遅くする、という可能性もあるディズニーのテーマパークの中でもっとも重要な作業なのだ（昔はそういう考え方だったが、今はどうかね）
私はナイトカストーディアルの作業を見たことはある。当時はカストーディアルのオープンキャストは開園の３０〜１２０分前から仕事をしていた。だからナイトが作業を終える寸前と時間が重なるのだ。こんなことがあった。私がマークトェイン号乗り場にあるマークの模型の入ったガラスケースを拭こうとしたら（社員に拭けと言われたらなんだけど）ナイトのおじさんに「そこは拭いたからいいよ」と怒られた。
「私もそう思うけど社員が拭けというから」というと、怒ってどっかいってしまったことがあった。
本来、そこはナイトが掃除する個所で、デイはふつうやらないところ。ナイトの人達は「ディズニーランドは俺達が綺麗にしているんだ」という自負が強く、仕事にプライドをもっている人が多いということなのだ。
また、まもなく開園時間だというのに、まだ地面に水が残っているところがあって、デイとナイトが協力してスクイジーで流し取ったこともあった。冬は凍結防止のために、ぎりぎりまで水をまかないため、たまにこんなことにもなるのだ。
ナイトと一緒に掃除したこともあった。大晦日は終夜営業しているわけだが、ナイトは契約上夜中になると、仕事をしなければならない。そこでこの日だけはデイと同じコスチュームを来て、トイブルームとダストパンを持ち、オンステージを掃除するのだ。でも、キャストとしての訓練をちゃんとは受けてないので、ゲストに道を聞かれてもうまく答えられなかったり、ダストパンの持ち方が逆手だったり。あるときは事前にデイに知らされておらず、知らない人だけど、同じカストだなと思って「おつかれさまです」と声をかけても返ってこないので、おかしいなと思うデイ・カストが多かったようだ。（今も大晦日にナイトがまじっていることはないらしい）
東京ディズニーシー開業後は、一般のゲストもナイトカストーディアルキャストを見ることができるようになった。
ホテルミラコスタ……これは日本で初めてのディズニー・テーマパークとの一体型ホテルであり、部屋からパーク内を一望できることが売りの一つとなっている。
つまり、閉園後もパークの様子を見ることができるわけで、夜中になると野外作業用の大型ライトを点灯しながら水をまいたりするナイトの作業を見ることができるのである。
本来はバッドショーでもあり、ホテルを作るときに閉園後の作業（ナイトやメンテナンス）をどうやって見せないようにするか検討もされたようだが、結局は開き直って「ナイトの作業もショーの一つとして見せている」ということにしたそうだ。
ナイトが活躍する様子をゲストが見ることは、よいことだと思う。夢と魔法の王国の陰ではいろんな努力があるということを知ることによって、ゲストはより深く夢の中へ浸れるのではないだろうか。
掃除の本当のプロは、デイ・カストーディアルではなく、ナイトカストーディアルの人達である。
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